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マイハズバンド
我が家のすぐ近くに生活用品を扱う雑貨屋さんがある。
私たちが通称“お姉ちゃんの雑貨屋さん”と呼ぶそのお店は、その名の通り、丸ぽちゃ系のかわいらしいお姉ちゃんがお店を切り盛りしている。
お姉ちゃんには同じく丸ぽちゃの優しそうな旦那さんがいて、ふたり揃って笑顔までまんまるといったとても微笑ましいカップルなのだ。
このお店は丸いという特徴だけでなく、園芸用品も扱っているというのが他のお店と少し異なるところ。
何やら旦那さんがどこかの高校で園芸を教えているらしく、その関係でコネがあり、園芸用品が色々と揃うようなのだ。
とはいっても、園芸用品専門店に比べると品揃えは落ちる。しかし、土や肥料、レンガなど基礎的なものからちょっとした小道具まで手に入るので夫はこのお店が大のお気に入りなのだ。
というのも、今の夫の唯一の楽しみは庭いじり。
仕事の合間に庭をいじるのが何よりのリフレッシュになるそうだ。
夫がこのお店を好きな理由はもう一つ、思いっきりローカルのお店にも関わらず多少の英語が通じるということ。
前述したように旦那さんは高校の教師なので英語が少し話せる。
お姉ちゃんはどうやら旦那さんから英語を習っているようなのだ。
ちなみに、ウチの夫が日常的に使う言葉は日本語か英語。
仕事もそのどちらかで充分事足りるので夫はいまだにタイ語があまり話せない。(話そうともしていないが・・・)
・・・そんな訳で、夫は何かというと“お姉ちゃんの雑貨屋さん”に行ってちょこちょこ色んなものを買ってくる。
夫曰く、痒いところに手が届くじゃないがポイントをおさえたものが置いてあるのでついつい買ってしまうのだそうだ。
私もたまーにこのお店に行くのだが、なるほど夫好みのものが揃っていて、夫がつい買ってしまう気持ちが頷ける。
私がお店に行くと、お姉ちゃんはニッコリ笑って決まって
「いつもたくさん買ってもらってるので、安くしときますよ~」
とタイ語と英語混じりで気さくに挨拶してくれる。
ある日、夫に頼まれて“お姉ちゃんの雑貨屋さん”に行った。
私:「買い物頼まれて来たんだけど・・・」
お姉ちゃん:「マイハズバンドからでしょ?」
私:「・・・へ?!?」
それを言うなら“ユアハズバンド”でねぇかい?
と心の中でツッコミを入れたが、お姉ちゃんがあまりにも屈託のない笑顔で私に微笑みかけてくれているもので、指摘する気にもなれず・・・、
少し戸惑いながらも
「う、うん。そう。
マイハズバンドが○○を探してて・・・」
とその場の雰囲気にあわせてしまった。
お姉ちゃん:「マイハズバンドはこういうのが好きだから
これでいいんじゃないかな~」
・・・誰のダンナ!?
とツッコミを入れたくなったが、話の流れ上やめておいた。
私:「そ、そう・・・。それじゃ、それを2つ・・・」
お姉ちゃん:「あっ、ちょっと待って!
やっぱりこっちの方がいいかな。
マイハズバンドはこの色あまり好きじゃないから・・・」
う~むー・・・。ますます誰のダンナかわからなくなってきたぞ。
一夫多妻?!
ってか、お姉ちゃんマイハズバンドのこと知り過ぎ! でもちょっと感心。
お姉ちゃんが再び「マイハズバンドは・・・」と言いかけた時、お姉ちゃんの本物のハズバンドが帰って来た。
旦那さんの姿を見ると目を輝かせ優しく微笑むお姉ちゃん。
何だかほんわかした気分になって、お姉ちゃんがマイハズバンドにと見立ててくれた2本のシャベルを握り締め、家へ帰った。
家に着いて早速そのことをマイハズバンドに報告すると、
「うーーーむーーー・・・・・。
どうせなら、もっとスリムで若いお姉ちゃんがいいかな」
だとさ。
思い切り蹴りを入れてやった。
◆このコラムは月2~3回不定期の更新です。
日々の細々は うなぎ日記 から随時更新中。
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