ドタバタ温泉旅行(1)
木曜日の午後、ふと思い立ってチェンマイ郊外にあるサンカンペーン温泉へ行った。
お昼ご飯を食べながら私が
「あぁ~、温泉にでも行ってゆっくりお風呂に浸かりたいなぁ」
と言った一言が事のはじまり。
「今から行くか?」
「行く!」
そうと決まれば話は早い。
すかさず仕事のスケジュールをチェック。
折りしも夫は仕事が詰まっていたが、何とか調整がついたので、私は特大ボストンバッグに家族3人分のお泊りセットを詰め込む。
夫は自分のバッグにノートPCと携帯電話を入れ、娘を車に積み(!)いざ出発~!!!
チェンマイから車で30~40分、西へ西へと走った所にサンカンペーン温泉がある。
最後にサンカンペーン温泉を訪れたのはいつだっただろう?
私の記憶が正しければ、約9年前。
あれから9年も経つなんて・・・! 月日が流れるのは早い。
私には小さな夢がいっぱいあって、その1つに
“涼しい時期に家族で温泉に行って、ゆっくり温泉に浸かる”
というのがあった。
夫と会社を興した当初から持ち続けていたささやかな夢。
簡単に叶いそうなショボイ夢だが、そんなちっぽけな夢を叶えるのに5年もかかった。
何しろ商売を始めてからは、働き詰めの毎日で、そんな時間も精神的余裕も全くなかったのだから。
そうこうしている内に子供が生まれ、それまでに増して忙しくなる日々・・・。
「・・・やっと夢が叶ったか」
少し感慨深い気持ちになった。
そんなことをぼんやり考えてると、車がコンビニの前に停まった。
コンビニでは、ビールとおつまみ、娘のお菓子、ジュース、水、そしてインターネットカード(これが一番の目的)を購入。
夫はやはり仕事が気になるようで、もし部屋に電話があれば、ダイヤルアップでネットに接続し、少しでも仕事をしようと思ったようだ。
コンビニを出て、車は西へとひた走る。
観光客の多いボーサンのエリアを過ぎると、噂通り道は広くキレイになっていた。
昔はのんびりした田舎道だったのになぁ。
途中道が二股に分かれた。
私の記憶では、温泉は、1本道をとにかく真っ直ぐ走って、突き当たりを左に折れて、しばらく走って左側に入った所。
「どっちだ?」
と夫に訊かれ、とっさに
「右」
と答える私。
右の道の方がやや広く見えたので、そちらがメインの道だろうと・・・。(汗)
ちなみに夫はサンカンペーン温泉には行ったことがない。
なので、私がナビゲーター・・・。
・・・結局、
私の“勘”(!)は見事にはずれ、その後も迷いに迷って、普通なら30~40分で着くところが約3時間もかかってしまった。(泣)
サンカンペーン温泉に行くのにここまで迷うのも珍しいだろう。
あぁ、近くて遠いサンカンペーン温泉・・・。
やはり私がナビゲーターを務めたのがそもそもの間違いだったのか!?
一応“泊まり”を考えていたので、サンカンペーン温泉と隣接するルンアルン温泉へ行った。
泊まる気満々でレセプションへ行くと、
「満室です」
とつれない一言。
へえぇぇ~~~・・・、とその場にへたり込みたくなった。
もう踏んだり蹴ったり。(泣)
しかし、遠路遥々(?!)“あんな思い”をしながら来たのだから、
意地でも温泉に浸かるぞぉ!!!
と鼻息荒く公営のサンカンペーン温泉に乗り込んだ。
外の駐車場に車を停め、入園料を払い、庭園を歩いて奥の浴場へと向う。
私は、温泉に浸かるだけなので、てっきり泊まり用の大きなボストンバッグは車に置いていくものだと思っていたが、夫はそのボストンバッグを抱え、ハァハァ息を切らしながら後を付いて来てる。
「あれ~? かばん、車に置いとかなかったのぉ~?!」
と訊くと
「盗難が心配だからだーーー!」
と。
まぁ。ご苦労さんなこって。
最後の方は、荷物が重過ぎたのかアゴを出しながら歩いてた。
車だと思ってあれこれ詰め過ぎたかな?!(爆)
大荷物を抱え、小さな子供まで引き連れ大移動してる私たち、相当目立ったのか、
「お泊りですか?」
とスタッフらしき人が声を掛けてきた。
「えっ!!? 泊まれるんですか?
それなら是非、是非泊まらせて下さい!!!」
嬉しい~~~!
これでゆ~っくりの~んびり温泉に浸かれる~♪
その後は一杯(いーっぱい?)飲んで、爆睡だぁ!!!
とーちゃんも重い荷物を運んだ甲斐があったってもんだ。
そ れ に、
ふぅふぅ言いながらここまで運転した甲斐もね。(爆)
チェックインしたのが17:00過ぎ。
ここからは、写真を織り交ぜながら、その後の流れを書いてみたいと思う。
やっとこさ腰を下して、ホッと一息つく夫。
娘は、物珍しそうに部屋の中のものを検証して回っている。
私は、スタッフにもう少し詳しい説明を聞きに行った。
←夕暮れ時の公園内。
ご飯は園内のレストランで食べれるらしいが、19:30頃には閉まるのでそれまでに食事を済ませて下さい、とのことだった。
園内にあるお土産屋さんや浴場のスタッフも19:30頃になったら、いっせいに帰ってしまうらしい。
19:30以降誰もいなくなる・・・。(正確には警備員のお兄ちゃんがいるが)
こんな山の中に私たちだけがポツンと取り残される・・・。
「もし夜中お腹が空いたらどうするのぉ~?!」
ということが一番気になった。
娘のお菓子もあるし、大丈夫かな?
最悪、車を走らせて町まで買いに行くことも出来るし・・・、
と、自分を納得させた。
たった一晩ぽっちで飢え死にするわけないのに、妙に心配になる私。
家から徒歩5分以内にコンビニや屋台がある便利な場所に住んでて、いつでも欲しいものが手に入る環境に慣れ切ってしまってるせいだな、これは。(一種の生活習慣病?)
部屋に戻ってみると、夫は既に一杯始めていた。
娘は、一緒に連れてきたぬいぐるみのゲッとヤギさんとマー(いずれも大切なお友達)をベットやら床やらにねんねさせて遊んでいた。
夕食は18:00過ぎに食べることにして、
とりあえず、
風呂だ! 風呂~~~!!!
と、みんなでドッポ~ンと湯船に飛び込んだ。
〈18:30頃~19:30頃〉レストランで夕食~♪
ひとっぷろ浴びていい調子の私たち。
←娘は、ナンバーワン(!)のマーと、暮れなずむ空を見ながらうっとり。
「マー、きれえだねぇ~」
としきりに話し掛けてたw
レストランのメニューは、無論全てタイ料理。
・パッタイ(タイ風焼きそば)
・ムーヤーン(豚のあぶり焼き)
・ガイヤーン(鶏の炭焼き)
・ソムタム(青パパイヤのピリ辛サラダ)
・ラープ(挽肉のピリ辛あえ)
・カオニャオ(蒸したもち米)
など、タイ料理が苦手な夫も辛うじて食べられるものを注文。
もちろん冷えたビールも忘れずに!
泊り客は私たちだけだったようで、レストランは貸し切り。
やった~、貸し切り大好き!
運ばれてきたビールをコップに注ぎ、3人で乾杯~♪(2歳の娘も乾杯の時は必ず加わるのだ)
しっかし、風呂上りの一杯ってなんでこんなに旨いのだろう。
はらぺこだった私たちは、全ての皿を平らげた。
ビールは少し飲み足りなかったが、閉店の時間だったので続きは部屋で、ということにした。
やはり夜中お腹が空いた時のことが気になってたまらなかった私は、恐る恐るウエイトレスのお姉さんに
「追加でパッタイとガイヤーンを部屋に持ち帰りたいんですが、出来ますか?」
と訊くと
「もちろん」
と笑顔で答えてくれた。
というか、「当然出来ますけど何か?」といった不可思議な顔をされたといった方が正確か・・・?
つくづく思うが、
タイって国はホントにテイクアウト天国だよな~。
パッタイとガイヤーンが入ったホッカホカのプラスチックボックスを片手にバンガローへ戻った。
〈19:30頃~20:00頃〉バンガローでまったり
←バンガローの入り口にあるプチテラス。(写真は昼間撮影したもの)
夫と娘が部屋に入り、TVを見出したので、私は1人外のテラスで、冷蔵庫に冷やしておいたビールを飲み、テイクアウトしてきた、ガイヤーンを少しつまんだ。
タイでは、リゾート内にあるバンガローにはちょっとしたテラスがあり、そこにテーブルと椅子が設置されているのが定番。
タイと日本の二重生活を送ってた頃、帰国する前“骨休み”と称して必ずタイのビーチリゾートへ行った。
ひとり旅が好きな私も、さすがにビーチは1人で行く気になれず、妹を誘った。
海好きな妹は、チェンマイにはさほど興味を示さなかったが、ビーチと聞くと、強引にでも休みを取って、すっ飛んで来た。
私たちは、短くて1週間、長くて2週間程の休暇を楽しんだ。
ビーチでは、ひたすらのんびりまったり過ごしたのだが、そんな中、一番好きだった時間が、夕食後、妹と2人バンガローのテラス席にどっぷり体を沈め、激辛タイ料理をつまみにビールを飲み、ゆっくり語らう時間・・・。
・・・あの頃と同じように、
バンガローのテラスでビールを飲む私・・・
だがっ!
目の前に海は見えないし、そばにいるのは妹ではなく、むさ苦しい夫と、ピーチクパーチクやたらとうるさい2歳のチビ。
これが今の私の現実。(泣)
「おかあしゃーーーん! おふろよぉ~~~」
と娘が叫ぶ声に、いっきに現実世界に引き戻された。(泣)
時計を見ると、20:00。
わずか30分のまったりタイム。
昔は妹とビール片手に軽く5~6時間は食っちゃべってたのになぁ。
悲しぃ・・・。
〈20:00頃~21:00頃〉温泉アゲイン!
じんわり冷えてきたので、寝る前にもう一度温泉に入ろう、ということになった。
←バスルームに設置されてた湯船。
家族3人で浸かるにはちょうどいいサイズだった。
まぁるくてかわいい形。
バスタブよりずっと好きだな、この形。
3人でちゃっぽ~んとお湯に浸かる。
バスルームはふんわり硫黄の香りが漂う。さすが温泉!
バンガロー自体は簡素な造りだが、バスルームに湯船があって、蛇口をひねると温泉がすごい勢いでドバドバ出て、何度でも好きなだけ温泉に入れる・・・、
なんて贅沢なのぉ!!! 感激~!!!
娘も大層温泉がお気に召したようで、私たちの間を行ったり来たりしたり、1人でちゃぽちゃぽお湯で遊んだりしている。
娘が珍しく1人で集中して遊び出したので、湯船に浸かりながら久しぶりに夫とゆっくり話をした。
仕事の話だったり、下らない笑い話だったり・・・。
喉が渇くので、途中、水分補給(=ビール、だったりして:爆)も忘れずに!
・・・思えば、いつも一緒にいるものの、娘がしょっちゅう邪魔に入るもので、落ち着いて話する時間などあまりなかった。
有意義な時間が過ごせて大満足の私。
しみじみ、お風呂っていいなぁ~・・・。
しっ、しかし!
調子に乗って長時間浸かり過ぎたよう。
体がふやけてきた。
しかも、アルコールが入ってた私の顔はまるでゆでダコのよう。(泣)
こりゃヤバイぞ! と大急ぎでお風呂場から脱出した。
〈22:00頃〉就寝
すっかり湯だって(茹って?)しまった私。
後から後から汗が流れてくる。
外に出て涼みたかったが、娘が付いて来て、またまた大混乱になりそうだったので、
とりあえず就寝! ってことで、部屋の電気を消した。
電気を消すと、部屋の中は
真~~~っ暗。
しかも、
な~~~んにも聞こえない。
たまに聞こえるのは、コウモリかフクロウ(ミミズク?)か、それらしき怪しい生き物の鳴き声ぐらい。
いいな~、この静けさ。
車やバイクのエンジン音が聞こえないだけでこんなに落ち着くものかなぁ。
目も段々暗闇に慣れてきたぞ。
夜行性動物並みの目になってきた。(←ホントか?)
半径数百メートル以内には誰もいない。
私たちだけがこの自然を独占している。
・・・なんて贅沢なんだろう・・・!!!
(↑あんなに“食料”のことを心配してたくせに、ね・・・:爆)
大自然に抱かれ眠る心地良さを久しぶりに味わった。
娘が暗闇を怖がり布団の中で暴れ始めたので、夫が仕方なく密かに持参したランプに火を灯した。
ベッドの辺りがぽわんと明るくなった。
電気の明かりとは確実に違う自然の明かり。
とっても優しい色をした光。
暗闇もいいが、これもまた良し。
・・・こうして夜はふけていった。
〈つづく〉
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